カオスの受容がやみつきになるメイド喫茶「パピロン」

西成区太子の交差点、動物園前駅4番出口を東に歩いてすぐのところに、手づくり感満載のナチュラル空間を提供している喫茶earth。ここで「Papyron パピロン」というメイド喫茶企画をする、ということで訪問させてもらった。

メイド喫茶は昨年から始めたそうで、今年は、3月16日、18日、23日、25日、26日というスケジュールで行われ、27日にはメイドたちで結成した愛と平和の使者、「パピロンズ」が登場しライブが行われる。

いきなり入り口には奇抜なデザインの暖簾がかかっているが、無造作な装飾や掲示物がカオスをつくりだし不思議な安心感を得ることができる。

 

Papyron

 

中に入ってメイド喫茶らしく「おかえりなさいませ、ご主人さま~」と迎えてくれるものと期待したが当然ない。座ったテーブルにはメイド喫茶には定番であるはずの呼び鈴もない。さらに最初にお給仕してくれたメイドのつづらちゃんはメイド服を着ていない。つづらちゃん曰く、「今日は趣向を変えて普通の服を着てみました」とのこと。

 

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つづらちゃんは、引きこもりの日々を自虐的に歌うピン芸を披露してくれた。落語もできるらしい。

メイド喫茶は少しいい加減なところがちょうどいいのかもしれない。奥のキッチンをみて、メイド服をきた小手川さんがいたので、やっとメイド喫茶に来た安堵感を得た。

メニューはドリンク単品か卵料理のモーニングセット。卵料理は目玉焼、玉子焼、スクラングルエッグなど、数種類の中から選ぶことができる。私は、黒糖パンと玉子焼をチョイスしモーニングセットを注文。玉子焼は半端にロールしていて焦げ目に意味があるのかないのか、そして少し甘い。野菜は農家から直接仕入れたものだそうだ。でも菊菜は生では食べにくい。明確な答えを出すことを躊躇させる料理だ。

 

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となりのお客さんが「この店、虜になりそう」と呟いていたので、理由を聴くと「こんな店ありえないからね~」と笑いながら話す。その言葉が全てを物語っている。メイド喫茶はそもそもありえない空間を演出し提供するものなのだ。

メイドの小手川さんにモーニング喫茶の開催のきっかけを教えてもらった。

 

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「たまたまハロウィーンの時にメイドの服を着てたら、いっぱい声かけられて喜んでもらえたので、これはいけると思いました」

小手川さんは猫人間型ロボットで、猫4匹とこども一人と釜ヶ崎の片隅に生息中で、メイドでない時は非営利団体で事務の仕事をしている。人と関わることもしたいのでメイドになろうと企画したそうだ。

 

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この地域は、様々な人たちが行き交い、一風変わった人たちがたくさん暮らしている。様々な人たちが同じ地域で一緒に暮らしていくには、ちょっとした工夫が必要だ。

メイドもお客も変わっていていい。パピロンでは人と人とに思いやりがある限り全てのカオスが受容される。

 

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レポート|坂根 匡宣